アミノ酸スコアとは、各食品に含まれるたんぱく質がどのくらい「良質」であるかを示す指標で、必須アミノ酸の含有量をもとに計算されます。

様々な食品のアミノ酸スコアが、栄養学の教科書やネット上に掲載されていますが、食品によっては数値がまちまちのときがあります。

アミノ酸スコアの手計算による求め方を学び、さらに異なる数値が出回る理由についても見ていきたいと思います。

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アミノ酸スコアとは

以下、アミノ酸スコアとアミノ酸評点パターンについて触れますが、計算方法だけを知りたい方はこちらをクリックして飛んでください。

食品のアミノ酸スコアとは、その食品に必須アミノ酸がどれだけバランスよく、かつ豊富に含まれているかを表す指標です。

このスコアが高い食品は「良質たんぱく質」と呼ばれます。

現時点では、1985年にFAO/WHO/UNUによって提案されたアミノ酸評点パターンがその算出に用いられています。

アミノ酸スコア、アミノ酸評点パターン、良質たんぱく質についてより詳しくはこちらの記事をご覧ください。

アミノ酸スコアとは?アミノ酸評点パターンによる計算方法や問題点

なお、このリンク先の記事では、アミノ酸スコアについてより詳しく説明するため、アミノ酸評点パターンが「たんぱく質1gあたり」のものを使用しています。

本記事の「窒素1gあたり」のものではないので、アミノ酸評点パターンの数値は異なりますが、アミノ酸スコアの考え方や計算方法は同じです。

たんぱく質1gには窒素が平均0.16g含まれるので、「たんぱく質1gあたり」の数値に6.25を掛けると「窒素1gあたり」に換算できます(1÷0.16=6.25)。

アミノ酸評点パターンの表

下の表は、食品のたんぱく質に含まれる窒素1gあたりで換算した場合の、アミノ酸評点パターンです。

アミノ酸評点パターン(mg/窒素1g)
アミノ酸 1985年基準
イソロイシン 180
ロイシン 410
リジン 360
含硫アミノ酸(メチオニン+システイン) 160
芳香族アミノ酸(フェニルアラニン+チロシン) 390
トレオニン 210
トリプトファン 70
バリン 220
ヒスチジン 120

アミノ酸評点パターンは何を表しているのか?

ある食品のたんぱく質が「良質」であるかどうかは、食品のたんぱく質中に、各必須アミノ酸がどれほどバランスよく、かつ豊富に含まれているかで決まります。

食品のたんぱく質の窒素1gあたりで、すべての必須アミノ酸がこの数値以上に含まれていれば理想的(良質)ですよ、という基準値が、このアミノ酸評点パターンの意味です。

たとえばAという食品のたんぱく質が良質であるかどうかを調べたいとします。この場合、まず食品Aに含まれるたんぱく質中の窒素の量と、各必須アミノ酸の量を測定します。

仮に窒素の量が3gだったとすると、各必須アミノ酸の量を3で割れば、食品Aの「窒素1gあたりの各必須アミノ酸の含有量」が求まります。

このとき、もしこの各必須アミノ酸の含有量が、すべてアミノ酸評点パターンの数値以上であれば、そのたんぱく質は理想的、「良質」(アミノ酸スコア100)であるとみなされます。

何をもって理想的か、というのは、あくまでも提案したWHOやFAOの基準ですが、おおざっぱに言うと、

「ヒトの身体で機能しているたんぱく質の構成に近いほど理想的」

という観点で定められています。

アミノ酸評点パターンを用いた計算方法

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アミノ酸評点パターンを用いて、具体的に各食品のアミノ酸スコアを計算してみましょう。

1.まず、2015年版の文部科学省・日本食品標準成分表(七訂)のアミノ酸成分表を参照します。

2.次に、計算したい食品を選びます。たとえば精白米なら「穀類」のPDFを開きます。

成分表によると、精白米の窒素1gあたりの各必須アミノ酸の数値は以下のとおりです。左に1985年基準のアミノ酸評点パターンを併記しています。

(mg/窒素1g)
アミノ酸 評点パターン
(1985年)
精白米
イソロイシン 180 230
ロイシン 410 480
リジン 360 210
含硫アミノ酸 160 280
芳香族アミノ酸 390 540
トレオニン 210 210
トリプトファン 70 81
バリン 220 340
ヒスチジン 120 160

3.各アミノ酸の成分値をアミノ酸評点パターンの各数値で割って、さらに100を掛けて充足率(%)を出します。すると、

精白米のアミノ酸スコア
アミノ酸 各スコア計算
イソロイシン 230÷180×100=128
ロイシン 480÷410×100=117
リジン 210÷360×100=58
含硫アミノ酸 280÷160×100=175
芳香族アミノ酸 540÷390×100=138
トレオニン 210÷210×100=100
トリプトファン 81÷70×100=116
バリン 340÷220×100=155
ヒスチジン 160÷120×100=133

と出てきます(小数点以下四捨五入)。

制限アミノ酸と第一制限アミノ酸

精白米の場合、リジン58と最も低く、他はすべて100以上になることが計算の結果分かりました。

この数値が100未満のものを制限アミノ酸といい、中でも最も数値が低いものは第一制限アミノ酸と呼ばれます。

この第一制限アミノ酸の数値(最低の数値)がアミノ酸スコアになります。

したがって、精白米はリジンが第一制限アミノ酸、かつ唯一の制限アミノ酸となっており、その精白米のアミノ酸スコアは58であることが分かります。

他の食品についても同様です。リンゴなら「果実類」のPDFを開いて、リンゴの各必須アミノ酸の数値を用いて同じ計算をすればよいです。

なお、すべての数値が100以上の場合は、制限アミノ酸はなく、アミノ酸スコア100となります(大豆など)。

手計算が面倒だという場合は…

手計算で練習すると、アミノ酸スコアの意味がよく理解できます。その代わり、普段使いには若干手間です。

そこで、手計算の手間を省くため、コピー&ペーストだけでアミノ酸スコアを自動計算するツールを組んでみました。興味のある方はぜひご利用ください。

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精白米のアミノ酸スコアは61ではないのか?

ところで、栄養学の教科書やネット上では、「精白米のアミノ酸スコア=61」というものをよく見かけます。上の計算で出した58とは若干異なります。

どうやらこの61という数値は、1986年の「日本食品アミノ酸組成表」という古い資料から求めたもののようです。

ちなみにこの「日本食品アミノ酸組成表」では、精白米の各必須アミノ酸の数値は以下のようになっています。参考のため、2015年のアミノ酸成分表と併記します。

精白米のアミノ酸値(mg/窒素1g)
アミノ酸 1986年 2015年
イソロイシン 250 230
ロイシン 500 480
リシン(リジン) 220 210
含硫アミノ酸 290 280
芳香族アミノ酸 580 540
トレオニン 210 210
トリプトファン 87 81
バリン 380 340
ヒスチジン 160 160

左が1986年の日本食品アミノ酸組成表、右が2015年の日本食品標準成分表(七訂)のアミノ酸成分表です。30年の間に軒並み数値が下がっています。

1986年の数値でリジンのアミノ酸スコアを計算すると、220÷360×100=61となり、よく見かける61という数値が確かに出てきました(小数点以下四捨五入)。

他にも調べてみましたが、けっこうばらつきがあるようです。以下に幾つか例を挙げます。左から右へ、必須アミノ酸の順番は上の表と同じです。上が1986年、下が2015年です。

小麦粉(薄力粉・1等)

小麦粉の必須アミノ酸成分値
210 420 130 260 480 170 72 250 140
220 430 150 260 470 160 66 250 140

小麦粉のアミノ酸スコア
36(1986年)リジン
42(2015年)リジン

アサリ

アサリの必須アミノ酸成分値
230 390 400 220 400 260 59 250 120
230 390 400 220 400 260 59 250 120

アサリのアミノ酸スコア
84(1986年)トリプトファン
84(2015年)トリプトファン

大豆(国産)

大豆のアミノ酸成分値
290 470 390 190 540 230 79 300 170
280 480 400 180 550 260 83 300 170

大豆のアミノ酸スコア
100(1986年)
100(1986年)

アサリはまったく変わらず、大豆は上がったものも下がったものもあります。いずれにせよ、どのアミノ酸成分表を利用したかでアミノ酸スコアに違いが出る場合があります。

同じ食品なので、大幅に数値が変動することはないでしょうが、2015年版の文部科学省・日本食品標準成分表(七訂)のアミノ酸成分表のような、なるべく新しいデータを用いることをおすすめします。

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