カルシウムは、骨や歯をつくる材料となるばかりでなく、筋肉の収縮や神経伝達、血液の凝固や酵素の活性化などの働きを持つ、極めて重要なミネラルです。

一方で、日本人がここ数十年、常に摂取不足になっているミネラルでもあります。

そんなカルシウムの働きや効果、食べ物、欠乏症や過剰症などについて、簡単にまとめてみました。

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カルシウムとは

人体の約96%は酸素、水素、炭素、窒素の4つの元素からできています。残りの約4%を占める元素がミネラルになります。

カルシウムはその中でも、人体に最も多く存在するミネラルで、成人の体内に約1kg存在します。

そのうちの約99%は、骨や歯などのかたい組織に存在し、リンやマグネシウムなどと共に骨の構成成分として身体を支える働きをしています。残りの約1%は、血液中や細胞中に存在し、筋肉の収縮や体内の情報伝達などに関わっています。

リンについて

なお、日本人のカルシウム摂取量は、ここ20年間ずっと食事摂取基準を下回っており、効率よく摂取することを心がける必要があります。

また、カルシウム自体はもとより、小腸からのカルシウムの吸収を促進するビタミンDも多く摂ることです。ビタミンDには、それ以外にも血中のカルシウム濃度を調整するのに欠かせないビタミンです。

ビタミンDの働きや食べ物や欠乏症などについて

逆に、一部の野菜に多く含まれるシュウ酸や、穀類や豆類に含まれるフィチン酸、過剰の脂質やリンなどはカルシウムの吸収を妨げます。

カルシウムの働き

カルシウムの主な働きは、リンと共にハイドロキシアパタイトとなって骨や歯の材料となること、筋肉や神経の働きを正常に保つことです。

骨は絶えず作り直されており、常にカルシウムの吸収(骨から溶け出す)と形成(骨に沈着する)が行われています。

血中のカルシウム濃度は8.5~10.4mg/dLという狭い範囲で一定に保たれています。これよりも濃度が下がると骨からカルシウムが血中に溶け出し、逆に高くなると、血中のカルシウムが骨に沈着します。

このようにして血中カルシウム濃度は常に一定に保たれるのです。

血液中や細胞内のカルシウムは、心臓や筋肉の正常な収縮を維持するほか、神経伝達を正常に保つ働きや、血液凝固、酵素の活性化など、さまざまな機能を持っています。

カルシウムが不足すると、血中カルシウム濃度を保つために骨のカルシウムが大量に溶け出し、骨の形成が阻害されます。その結果、子供ではくる病、大人では骨軟化症や骨粗しょう症が発症します。また、イライラや神経過敏、高血圧や動脈硬化を招くことがあります。

カルシウムとエストロゲンと骨粗しょう症

女性ホルモンであるエストロゲンは、カルシウムの吸収率を高め、骨量を増加させます。

女性は閉経後にエストロゲンの分泌量が減少し、小腸からのカルシウムの吸収量が落ちます。そのため、骨量が急速に減少して骨粗しょう症になりやすくなります。

妊娠中はエストロゲンの分泌が増えるのでカルシウムの吸収率が高くなります。吸収されたカルシウムは主に胎児側に蓄積されることになります。

この場合、カルシウム摂取量を増やしても尿中に大量に排泄されてしまうので、特にカルシウム摂取量を増やす必要はないとされています。

カルシウムを多く含む食品

動物性食品に多く含まれ、特に牛乳やチーズなどの乳製品や、いわし丸干しやワカサギなど、骨まで丸ごと食べる小魚に豊富です。

植物性食品では、モロヘイヤや小松菜などの葉物野菜や、豆腐などの大豆製品に豊富です。特に乾物類(切り干し大根や高野豆腐など)は、成分が凝縮されており、カルシウムを効率よく摂取できます。

カルシウムを多く含む食品の、可食部100グラムあたりの含有量(mg)は以下のとおりです。(1000mg=1g)

低脂肪牛乳 130
ヨーグルト(全脂無糖)120
普通牛乳 110
プロセスチーズ 630
パルメザンチーズ 1300

ドジョウ 1100
イワシ丸干し 440
ワカサギ 450
アユ(養殖)250
ハマグリ 130
シラス干し(微乾燥品)210
シラス干し(半乾燥品)520
さくらえび(素干し)2000
干しえび 7100

モロヘイヤ 260
大根の葉 260
かぶの葉 250
小松菜 170
水菜 210
ひじき(乾)1000
切干大根 500

がんもどき 270
生揚げ 240
木綿豆腐 86
凍り豆腐(乾)630

食品によって違うカルシウムの吸収率

カルシウムは、吸収率が25~30%程度と低く、吸収されにくい栄養素の1つです。同時に摂取する栄養素や喫煙の有無、身体の状態(成長期か、妊娠中か)などによっても吸収率が変動します。

また、食品の種類や食べ合わせによってもカルシウムの吸収率が異なりますので、吸収されやすい食品や、吸収率の高まる食べ合わせを選ぶことで効率よく摂取できます。

なお、吸収率の例として、牛乳は約40%、小魚は約30%、ほうれん草などシュウ酸を多く含む野菜は約20%ほどであると言われています。

カルシウムの吸収を良くする栄養素と、阻害する成分

ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。また、ビタミンDは血中カルシウム濃度の調整にも深く関わっています。

そのため、効率の良いカルシウム吸収のためには、ビタミンDも一緒に摂取するとよいです。ビタミンDは小魚やきのこ類に多く含まれています。

ビタミンDについて

なお、牛乳には、カルシウムを吸収しやすくなるカゼインホスホペプチド(CPP)乳糖が含まれており、吸収率が約40%と、他の食品に比べて高い傾向にあります(平均は25~30%程度)。

他には、アルギニンリジンなどのアミノ酸もカルシウムの吸収を良くする働きがあります。

逆に、ほうれん草など一部の野菜に多く含まれるシュウ酸や、穀類や豆類に含まれるフィチン酸、脂質やリン酸はカルシウムの吸収を妨げます。

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カルシウムの1日あたりの推奨量、耐容上限量

カルシウムの1日あたりの推奨量

18歳以上のカルシウムの1日あたりの推奨量(mg)は、以下のとおりです。(1000mg=1g)

男性
18~29歳 800 2500
30~49歳 650 2500
50~69歳 700 2500
70歳以上 700 2500

女性
18~29歳 650 2500
30~49歳 650 2500
50~69歳 650 2500
70歳以上 650 2500
妊婦、授乳婦とも付加量なし

左が推奨量、右が耐容上限量です。

なお、妊婦に関しては、妊娠中には小腸からのカルシウム吸収率が著しく増大することや、カルシウムを多めに摂取しても尿中に排泄されてしまうことなどから、付加量は必要ないとされています。

授乳中には、小腸からのカルシウム吸収率が上がり、尿中への排出量が減少することから、こちらも特に付加量は必要ないとされています。

詳しい表を以下に掲げます。

厚生労働省HPより

カルシウムと過剰症、耐容上限量

カルシウムの1日あたりの耐容上限量は、18歳以上の男女ともに2500mgと設定されています。

日本人の通常の食生活では達することのない水準ですが、サプリメントの大量摂取には気をつけなければなりません。

また、ビタミンDの摂り過ぎでも、血中カルシウム濃度が高くなってしまう可能性があります。

カルシウムの過剰摂取によって、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘など、様々な障害が生じるおそれがあります。

カルシウムの欠乏症・過剰症まとめ

カルシウムが欠乏したり過剰になったりすると、以下のような症状を引き起こします。

カルシウムの欠乏症

くる病(子供)
骨軟化症、骨粗しょう症(成人)
高血圧
動脈硬化

カルシウムの過剰症

高カルシウム血症
高カルシウム尿症
軟組織の石灰化
泌尿器系結石
前立腺がん
鉄や亜鉛の吸収障害
便秘

カルシウムまとめ

カルシウムについて、以下に簡潔にまとめます。

カルシウムの主な働き

骨や歯の形成、正常な神経伝達や筋肉の収縮、血液凝固、酵素の活性化など

カルシウムを多く含む食品

乳製品や小魚、葉物野菜や大豆製品などに豊富です。

乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
魚介類(いわし丸干し、ワカサギ、干しエビなど)
葉物野菜(モロヘイヤ、大根の葉、水菜など)
大豆製品(がんもどき、生揚げ、木綿豆腐など)

カルシウムの1日あたりの推奨量

単位はmg(1000mg=1g)

男性
18~29歳 800 2500
30~49歳 650 2500
50~69歳 700 2500
70歳以上 700 2500

女性
18~29歳 650 2500
30~49歳 650 2500
50~69歳 650 2500
70歳以上 650 2500
(妊婦、授乳婦とも付加量なし)

左が推奨量、右が耐容上限量

カルシウムを食べ物から上手に摂る方法

ビタミンDを多く含む食品(小魚、きのこ類)と一緒に食べる。ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進する働きがある。

またカルシウムは、食べ合わせや食品の種類によって、吸収率が変わる。牛乳にはカルシウムの吸収を促すカゼインホスホペプチド(CPP)や乳糖が含まれるため、吸収率は高い。

一方、ほうれん草に多いシュウ酸や、穀類に多いフィチン酸や、過剰な脂質やリンなどはカルシウムの吸収を阻害する。

↓↓各ビタミン・ミネラルの働き、多く含む食べ物や食べ方、欠乏症や過剰症などについて

こちらでビタミン・ミネラルについて、簡単にまとめています。

主要(多量)ミネラル
カルシウムと骨、ビタミンD、エストロゲン
リンと骨、細胞膜、DNA、インスタント食品

脂溶性ビタミン
ビタミンAとβカロテン、抗酸化作用
ビタミンDと骨とカルシウム
ビタミンEと過酸化脂質と抗酸化作用
ビタミンKと骨と血液凝固と新生児

水溶性ビタミン
ビタミンB1とアルコール
ビタミンB2と脂質の代謝
ナイアシンとアルコール、トリプトファン
ビタミンB6とアミノ酸、つわり、月経前症候群
葉酸と妊娠、DNA、動脈硬化
ビタミンB12と葉酸の関係、欠乏症、消化吸収の特徴
パントテン酸と糖質・脂質の代謝、神経伝達、善玉コレステロール
ビオチンと卵白、アトピー、血糖値、胎児
ビタミンCと抗酸化作用、コラーゲン、ストレス、鉄分の吸収