アミノ酸には、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸があります。

アミノ酸は多数結合してたんぱく質やペプチドを構成し、筋肉や皮膚や爪や髪の材料となるほか、筋肉・内蔵の強化、脳や神経の機能維持、免疫、解毒や鎮痛や組織の修復、疲労回復、エネルギー代謝など、様々な働きがあります。

そんなアミノ酸の種類や働き、必須アミノ酸と非必須アミノ酸について簡単にまとめてみました。

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アミノ酸とは

アミノ酸は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)などが結合し、アミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)を持つ化合物です。

約100~1000個ほどのアミノ酸が鎖状に結合することで、たんぱく質が構成されています。

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肉や魚介類、大豆製品、乳製品などに含まれるたんぱく質が消化されることで、アミノ酸が供給されます。

自然界にはアミノ酸は数百種類ほど存在すると言われていますが、そのうちヒトのたんぱく質を構成するアミノ酸はわずか20種類ほどです。

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

ヒトのたんぱく質を合成する20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で十分に合成できないため、食事から摂らなければなりません。

この9種類のアミノ酸を必須アミノ酸といいます。

必須アミノ酸は、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン(トレオニン)、メチオニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファンの9種類です。

なお、必須アミノ酸については、これら9種類を偏りなく、バランスよく摂取することが大切です。食品中に含まれる必須アミノ酸のバランスの良さを表す指標として「アミノ酸スコア」というものがあります。

必須アミノ酸のアミノ酸スコアについて

残りの11種類のアミノ酸は、体内で十分に合成できるので非必須アミノ酸と呼ばれています。

非必須といっても、「必ずしも食事から補う必要はない」というだけで、「人体に必要ない」という意味ではありません。非必須アミノ酸も人体に欠かせないアミノ酸です。

非必須アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、システイン、チロシン、プロリン、アスパラギンの11種類です。

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アミノ酸の働き

9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸は、それぞれに様々な重要な働きがあります。

エネルギー代謝の過程に欠かせないもの、ホルモンやビタミンの構成成分となるもの、DNAやRNAの材料となるものなど、どれも人体には欠かせないものです。

生理活性ペプチド

また、アミノ酸単体ではなく、アミノ酸が2個~100個程度結合して作られるペプチドも、たんぱく質とは異なる独自の働きを持っています。

ペプチドには様々なものがありますが、特に有名なものとしてインスリンがあります。

インスリンはアミノ酸が51個結合してできたペプチドで、血液中の糖を取り込んで細胞に送り届けることで血糖値を下げる働きがあります。

他にも、アミノ酸が32個結合したカルシトニンは、血液中のカルシウムを骨に沈着させることで、血中カルシウム濃度を下げ、骨を丈夫に保つ働きがあります。

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また、アミノ酸が31個結合したエンドルフィンは脳内ホルモンとして、モルヒネに似た鎮痛作用があります。

このような様々な重要な働きをするペプチド(生理活性ペプチド)の構成成分としても、アミノ酸は欠かせません。

必須アミノ酸と非必須アミノ酸の主な働き

必須アミノ酸と非必須アミノ酸の一覧と主な働きです。

必須アミノ酸9種類

必須アミノ酸 主な働き
バリン 筋肉強化、成長促進
ロイシン 筋肉強化、肝機能向上
イソロイシン 筋肉強化、神経機能
スレオニン 成長促進
メチオニン 解毒作用、抗腫瘍作用
リジン 成長促進、組織の修復、抗体の材料
ヒスチジン 神経機能、幼児の発達
フェニルアラニン ドーパミン、アドレナリンの材料
トリプトファン 神経伝達物質、鎮痛、免疫力

非必須アミノ酸11種類

非必須アミノ酸 主な働き
グリシン ヘモグロビンの材料、解毒作用
アラニン 肝臓のエネルギー源
セリン 細胞膜(リン脂質)の材料
アスパラギン酸 エネルギー代謝、疲労回復
グルタミン酸 脳・神経の機能、疲労回復
グルタミン 胃腸・筋肉の機能、体脂肪代謝
アルギニン 成長ホルモン合成、体脂肪代謝
システイン メラニン色素合成の抑制
チロシン アドレナリン、ドーパミンの合成
プロリン コラーゲンの主成分
アスパラギン 新陳代謝

アミノ酸を多く含む食品、上手な摂り方

アミノ酸はたんぱく質が消化されることで供給されます。したがって、食品から十分なたんぱく質を摂っていれば、不足することはありません。

たんぱく質を多く含む肉や魚、乳製品などの動物性食品や大豆製品、また麦や蕎麦や玄米のような穀類を十分に摂りましょう。

動物性食品でたんぱく質を摂ると、脂質も多く摂取することになります。大豆製品や穀類など植物性食品なら、脂質を摂り過ぎることなく、たんぱく質を補うことができます。

とは言え、植物性食品からだけでは、十分に効率的なたんぱく質摂取になりませんので、動物性食品とともにバランスよく摂取することが大事です。

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