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私は長い間、自分が「根性なし」であることに悩んでいました。

面白そうと思ったことに首を突っ込んで、一時期は熱を上げるのですが、せいぜい数か月くらいで熱が冷めてしまい、興味が他へ移ってしまう。そしてその後は見向きもしない。

そんなことをずっと繰り返してきて、結局どれも中途半端でモノにならずじまいでした。いろいろ自分なりに頑張ってきたつもりだったけど、振り返るとたいして積み重ねがない。

だから、「あのときやめずに続けてたら、今ごろどうなってたかなぁ」と、後悔のような思いで振り返ることがとても多かったです。

そしてそのたびに、「自分は意志薄弱の根性なしだから、仕方ないか」と諦めのような正当化をしていたのです。

でも、そんな自分が嫌だったので、継続する意志の強さを身につけたい、といつも思っていました。

そんな中、めぐり合ったのがこの本でした。
30日で人生を変える 「続ける」習慣

この本を読んだ私にとっての最大の収穫は、「長続きできないのは自分の意志や根性が弱いせいだ」という自己否定的な思い込みから解放されたことでした。

また、数少ないながらも自分が長続きしている習慣について、なぜそれが長続きできたのか、その理由も知ることができました。

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習慣化とは

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私は、英語学習や読書のような習慣を長続きさせるのは、強い意志や根性を保ち続ける精神の強靭さだと思っていました。なので、長続きのためには「精神を鍛える」ことが大事だと思っていました。

そして、その「精神を鍛える」ためには、少々つらい勉強や努力も、我慢しながら取り組まなければならないと思っていました。

例えば英語なら英語の勉強を、つらい、大変だと思いながらも、そのつらさを我慢しながらコツコツと取り組むことで忍耐力が強くなり、同時に英語の力も付けていくことができる。習慣的に努力を続けるというのは、そういうものだと思っていました。

でも、全然違っていたようです。むしろ、そのような考え方で取り組むと、途中で嫌気が差して挫折する可能性が高かったのです。

挫折するたびに今度こそと思いながら次の習慣に取り掛かるのですが、また挫折。それを繰り返すうちに、だんだん自分に自信がなくなってきて、何にも手をつけられなくなってしまう。

こうなると危険なので、早急に手を打たなければなりません。

最善の方法は、習慣化というものに対する根本的な考えを改めること。

習慣化とは「自分が続けたいと思っていることを、意思や根性に頼らず、毎日のハミガキのように楽々続く状態に導くこと」です。

習慣化する力とは、どんな習慣でもハミガキのように当たり前に続いている状態にする力のことを言います。続けたい習慣があるたびに、ノウハウ本を買ったり、TVの特集を見て実践するのは応急処置に過ぎないように私には見えます。

個人的には、この「ハミガキ」という単語が刺さりました。

英語学習やダイエットが「ハミガキ」レベル?そんな簡単に行くんかいな?それが率直な第一印象でしたが、読み進めていくうちに、本当に習慣というものはそういうものなのだと納得しました。

あなたが継続できないのは、あなたの性格のせいではない

続かないのは性格や意志の問題ではなく、コツや原則を押さえていないから

つまり、自分のような何をやっても長続きしない人間に欠けているのは、性格的な適性などではなく、単に「習慣化のコツ・原則」を知らないからだ、ということです。

習慣化するためには、脳が新しい習慣を「いつもどおり」と認識できるまで続けることです。

ある行動を習慣化するためには、脳に「これは習慣である」と認識してもらえるように行動すればよい、ということです。そして、脳にそう認識してもらうためには、ある一定期間(最低30日間)それを毎日続ける必要があります。

そして、30日間続けることができれば、脳はそれを「習慣」と認識するようになり、サボると逆に気持ち悪く感じてしまう状態にまでもっていくことができます。

私は目を覚ますため、一年以上前から朝のラジオ体操を毎日やっているのですが、本当に一日でもサボるととても落ち着かないですね。旅行に行ったりなどでもしない限り、まずサボることは考えられません。この朝のラジオ体操は私の中で完全に習慣化していると言ってよさそうです。

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習慣化ははじめが肝心

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「習慣化のプロセス」は、このロケットの打ち上げと似ています。

ロケットの打ち上げは、発射から地球の重力を振り切って大気圏を突破するまでが、いちばん大きなエネルギーを要します。しかし、一度軌道に乗ってしまえば、あとはエンジンをふかさなくても慣性力で巡航することができるようになります。

この打ち上げに当たるのが、最初の一週間です。この一週間さえも続けるのが難しくて、40%以上もの人が三日坊主で脱落するそうです。この一週間をとにかく続けるために、様々な工夫が必要です。

そのために、誰でもできる、少ない労力・短い時間でできることから始めると良いです。これを本書では「ベビーステップ」と呼んでいます。

私は今ではほぼ毎日、最低5キロは走っていますが、最初は近所を10分くらい歩くところから始めてました。この本とめぐり合うよりも前の話ですが、無意識のうちに「ベビーステップ」を実行していたことになります。

10分くらい近所をてくてく歩く程度の運動でも、精神的なものがだいぶ違ってきます。もっと長く歩くことに抵抗がなくなり、そのうち走りたくなってきます。距離もだんだん伸びてきて、体力や走力もついてきます。こちらも一度習慣化すると、走らない日が気持ち悪い感じですね。

これがベビーステップを経ずに、「今日から走るぞ!」といきなり5キロ走ろうとしたら、ほぼ確実に三日以内に挫折していたと思います。

完璧主義と不純な動機

習慣化を妨げるのは完璧主義

人はそもそも、「完璧主義の弊害」に陥りやすい傾向があります。完璧にやりたいという気持ちが強すぎるあまり、完璧にできないならば、かえって何も行動できない状態になる。

私に関して言えば、思えば「習慣化」しているものごとは、どれも無欲で始めたものばかりな気がします。

見栄だとか功名心のような不純な動機で始めたものは、長続きしていないですね。私が思うに、「完璧主義」とそういう「不純な動機」って、わりと密接な関係があるのではないでしょうか。

果実だけを追い求めてしまっても、そこへ至る道のりの長さにへこたれてしまうんですね。完璧主義者は、果実を得るのに必要な労力と時間に対する見積もりが甘すぎる傾向にあると思います。

最初から飛ばしまくるのは、自分の器を省みない、思い上がった行為なのだと思います。

本当に得たいものは、そう簡単に手に入るものではない。そう思うからこそ、自分のリソース(精神的・肉体的能力や経験値や可処分時間・所得など)をよく吟味した上で、無理のない、ゆっくりだけれど確実な歩みでゴールに向かって歩を進めていくことができます。

そのコツコツした、無理のない、終わらない歩みを「習慣」と呼ぶのだろうな、と思います。そんな認識をもたらしてくれたこの本との出会いは、私にとってはかなり大きなものでした。

本書では他にも、ベビーステップから始めて、実際に30日間で習慣化を実現するための、細かいプランの立て方や挫折しないコツ・考え方など、非常に具体的で実践的な方法が、豊富な具体例とともに分かりやすく示されています。

よしず後記

よしず

長続きしないことに真剣に悩んでいたからこそ出会えた一冊でした。