ダイエットのための運動と言えば水泳と言われるくらい、水泳の消費カロリーは大きいことで知られています。

中でもクロールは、1時間の消費カロリーが男性で1300kcalを超えるとする情報が出回っていますね。

しかし、私はこの数字を見た時、にわかに信じることができませんでした。

私がそう感じた理由と、クロールの消費カロリーのホントのところはどうなの?といったことについて、述べてみたいと思います。

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クロールの消費カロリーは1337kcal!?

ネットを検索すると「クロールの1時間当たりの消費カロリーが男性で1337kcal、女性で1039kcal」という記事がたくさん出てきます。

しかし、メッツと呼ばれる運動強度の指標に照らすと、このような消費カロリー量は、一見してすぐに非現実的であることが分かるんですね。

メッツというのは、簡単に言うと「運動の強度を表す単位」です。

安静時のメッツ=1として、その何倍の強度があるかに応じてメッツの値が決まります。

散歩=3.5
雪かき=6.0
ジョギング=7.0

といった具合です。

参考:国立健康・栄養研究所『身体活動のメッツ表』

安静時の消費カロリーは年齢性別を問わず、1時間あたり

体重×1.05(kcal)

で与えられるので、これにメッツの値を掛ければ、その活動の1時間あたりの消費カロリーが計算できるというものです。

メッツの詳細についてはこちら

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クロールの消費カロリーの真相は?オリンピックレベル?

このメッツ表を使えば、クロールでどのくらいのカロリーを消費するのかが計算できます。

上のリンク先のメッツ表によれば、クロールのメッツは速く泳いで10くらいなので、体重が65キロの人が1時間泳いだときの消費カロリーは

65×1.05×10≒683kcal

になります。

とすると、男性で1300kcal以上、というのは正しくないと言えます。

この計算だと、体重65キロの男性がクロール1時間で1300kcal以上消費するためには、少なくとも20メッツの強度は必要です。

20メッツをランニングで表すと…

しかし、20メッツの強度を1時間続けるのは、普通の人にはほぼ不可能です。

20メッツという運動の強度をランニングで表すと、100メートルを17秒のスピード、時速21キロくらいになります。

つまり、2時間くらいでマラソンを完走できるレベルの強度ということです。

オリンピックでメダルも狙えますよね^^;

逆に言うと、オリンピック金メダルクラスのランナーが、ハーフマラソンを完走したときの消費カロリーがそのくらいだということになりますね。

クロールの20メッツってどのくらい?

クロールで20メッツは、だいたい50メートルを22秒くらいのペースになります。

50メートル自由形の世界記録が20秒91なので、

50メートル自由形の世界レベルのスピードで1時間泳ぎ続ければ、1300kcalを消費できる

という計算になります。

現在の人類にはおそらく不可能と思われます^^;

結論。「クロールの消費カロリー=1337」説は机上の空論

推測ですが、「クロールは1時間で1337kcal」説は、この世界記録からはじき出した机上の数字に過ぎないのではないかと思います。

とは言え、クロールをふつうの速さで泳いだ場合のメッツは8.3なので、体重65キロ、50キロの人ならそれぞれ、

65×1.05×8.3≒566kcal
50×1.05×8.3≒436kcal

となり、十分に大きな消費量であることに変わりはありません。

というわけで、結論は

クロール1時間で1300kcalは難しいが、500kcalくらいなら普通に消費できる

ということになります。

ウォーキングだとせいぜい200kcalくらいなので、それと比べると、1337kcalはありえないにせよ、水泳はダイエットにかなり有効な運動であることが分かりますね。

運動のメッツの表とエクササイズを詳しく。注意点と計算例など。