セレンはセレニウムともいい、強力な抗酸化作用を持つ酵素の活性中心として働き、活性酸素を除去することで、老化やがんの抑制、動脈硬化などの予防など、様々な良い効果をもたらすミネラルです。

また、水銀やヒ素やカドミウムのような有毒な物質の毒性を軽減する働きがあります。

そんなセレンの働きや効果、毒性や栄養、多く含む食べ物、欠乏症や過剰症、摂取量などについて簡単にまとめてみました。

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セレンとは

セレンは人体に約10mgほど存在し、摂取されたセレンは小腸上部から吸収されます。

食品から摂取しやすいミネラルで、その90%以上が吸収されると推定されています。このことから、体内セレン量は吸収ではなく、尿中への排泄によってコントロールされていることが分かります。

セレンは、動物性食品中では主にセレノメチオニン、植物性食品では主にセレノシステインなどの含セレンアミノ酸として、アミノ酸と結合した形で存在しています。

一方、体内ではグルタチオンペルオキシダーゼ、ヨードチロニン脱ヨウ素酵素、チオレドキシンレダクターゼなどの含セレンたんぱく質(セレノプロテイン)の形で存在し、現在25種類が知られています。

セレンの働き

セレンは過酸化水素や過酸化物を還元するグルタチオンペルオキシダーゼという酵素の活性中心となっています。

グルタチオンペルオキシダーゼはその強力な抗酸化作用により、ビタミンCやビタミンEと協力して活性酸素を除去し、細胞を守るという重要な働きをします。

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その抗酸化作用により、老化やがんの抑制、動脈硬化の予防や更年期障害の軽減など、様々な効果が期待できます。

また、セレンは体内でイオウ、ヒ素、カドミウム、水銀などと拮抗し、これらの物質の吸収を阻害することで、その毒性を和らげる働きがあります。

セレンと土壌、飼料、欠乏症

セレンの摂取量は、植物性食品と畜産物については、その土地の土壌および飼料のセレン濃度に大きく左右されます。

日本の土壌にはセレンが十分に存在するため、日本人が欠乏することはまれです。

しかし、中国やニュージーランドの一部地域などでは、土壌のセレン濃度が低いことによるセレン欠乏症が報告されています。

特に、中国の北東部から南西部にかけては、心筋の壊死を伴う心疾患である克山病が見られます。

また、中国東北部、朝鮮半島、シベリアでは、成長期の子供の骨端軟骨の変性や関節の腫瘍、身長の伸びの停止、唾液腺ホルモンの分泌異常などを引き起こすカシン=ベック病などが知られています。

その他のセレン欠乏症としては、貧血、関節炎、下肢の筋肉痛、筋萎縮、皮膚の異常、骨軟化症、精子減少、不妊症、免疫力低下、多発性硬化症、がん発症のリスク上昇などが考えられています。

ただし、ヒトにおいては、これらはセレン単独の欠乏症としては確認されていません(動物実験では確認されている)。

このことから、ヒトにおいては、これらの欠乏症はセレン単独ではなく、ビタミンEなどの欠乏と合わさって発症すると考えられています。

セレンの1日あたりの推奨量、耐容上限量

セレンの1日あたりの推奨量

18歳以上のセレンの1日あたりの推奨量(μg)は、以下のとおりです。(1000μg=1mg、1000mg=1g)

男性
18~29歳 30 420
30~49歳 30 460
50~69歳 30 440
70歳以上 30 400

女性
18~29歳 25 330
30~49歳 25 350
50~69歳 25 350
70歳以上 25 330
(妊婦は+5、授乳婦は+20)

左が推奨量、右が耐容上限量

詳しい表を以下に掲げます。

厚生労働省HPより

セレンと過剰症、耐容上限量

通常の食品の摂取による過剰症のおそれはほぼありません。サプリメントの摂り過ぎによる発症の可能性はあります。

土壌のセレン濃度の高い地域では、セレン中毒による脱毛、爪の変形、免疫能低下、疲労感、焦燥感、呼吸不全、心筋梗塞、嘔吐、腹痛、下痢、末梢神経障害などが見られます。

また、セレンの過剰摂取と前立腺がん、糖尿病発症のリスクの関係も指摘されています。

なお、欠乏症と同じく、ヒトにおいては、これらはセレン単独の過剰症としては確認されていません(動物実験では確認されている)。

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セレンを多く含む食品

セレンは魚介類に特に豊富で、他に肉類や豆類などに広く含まれています。

セレンを多く含む食品の、可食部100グラムあたりの含有量(mg)は以下のとおりです。

アンコウの肝 200
タラコ(生)130
クロマグロ 110
カツオ 100
ズワイガニ(生)97
ウナギ蒲焼き 42
アサリ(生)38
ナマコ(生)37

豚腎臓240
牛腎臓210
豚レバー 67
鶏レバー 60
牛レバー 50

レンズ豆(乾)54

卵黄(生)56
うずら卵(全卵)46

セレンの上手な摂り方

セレンは魚介類をはじめ、肉類、豆類、卵など様々な食品に豊富に含まれます。

日本の土壌では、セレンの欠乏を心配する必要はありません。実際、日本人の1日平均摂取量は約100μgで、推奨量(25~30μg)を優にクリアしています。

むしろ、この平均値は耐容上限量(330~460μg程度)に近いくらいなので、サプリメントなどによる過剰摂取の方を気にした方がよいでしょう。

セレンの欠乏症・過剰症まとめ

セレンが欠乏したり過剰になったりすると、以下のような症状を引き起こします。

セレンの欠乏症

心筋壊死
貧血
関節炎
下肢の筋肉痛
筋萎縮
皮膚の異常
骨軟化症
成長阻害
不妊症
免疫力低下

他にがん発症のリスク上昇が指摘されている

セレンの過剰症

脱毛
爪の変形
免疫能低下
疲労感
焦燥感
呼吸不全
心筋梗塞
嘔吐
腹痛
下痢
末梢神経障害

他に前立腺がんや糖尿病のリスクが指摘されている

セレンまとめ

セレンについて、以下に簡潔にまとめます。

セレンの主な働き

抗酸化作用を持つ酵素の活性中心、ヒ素・カドミウム・水銀などの毒性の緩和

セレンを多く含む食品

魚介類に豊富。肉類や豆類にも含まれる。

魚介類(あんこうの肝、クロマグロ、タラコなど)
肉類(レバーや腎臓など)
豆類(レンズ豆など)
卵類(鶏卵、うずら卵など)

セレンの1日あたりの推奨量

18歳以上のセレンの1日あたりの推奨量(μg)は、以下のとおりです。(1000μg=1mg、1000mg=1g)

男性
18~29歳 30 420
30~49歳 30 460
50~69歳 30 440
70歳以上 30 400

女性
18~29歳 25 330
30~49歳 25 350
50~69歳 25 350
70歳以上 25 330
(妊婦は+5、授乳婦は+20)

左が推奨量、右が耐容上限量

セレンを食べ物から上手に摂る方法

セレンは魚介類や肉類、豆類や卵に豊富に含まれる。

日本人の通常の食生活ではセレンが欠乏する心配はほぼない。

むしろ、摂取量は多めなくらいなので、サプリメントなどによる過剰摂取に注意すること。

↓↓各ビタミン・ミネラルの働き、多く含む食べ物や食べ方、欠乏症や過剰症などについて

こちらでビタミン・ミネラルについて、簡単にまとめています。

主要(多量)ミネラル
カルシウムと骨、ビタミンD、エストロゲン
リンと骨、細胞膜、DNA、インスタント食品
マグネシウムと骨、心筋梗塞、生活習慣病
ナトリウムとむくみ、高血圧、カリウム、減塩対策
カリウムと高血圧、脳卒中、ナトリウム、腎臓

微量ミネラル
鉄分とヘム鉄、非ヘム鉄、不足の症状、女性の摂取量
亜鉛と味覚、成長、生殖機能、インスリン
銅と貧血、白髪、抜け毛、鉄や亜鉛との関係
マンガンと骨の成長、糖脂質代謝、性機能
ヨウ素と甲状腺ホルモン、乳幼児の発達
セレンと抗酸化作用、水銀やヒ素やカドミウムの毒性

脂溶性ビタミン
ビタミンAとβカロテン、抗酸化作用
ビタミンDと骨とカルシウム
ビタミンEと過酸化脂質と抗酸化作用
ビタミンKと骨と血液凝固と新生児

水溶性ビタミン
ビタミンB1とアルコール
ビタミンB2と脂質の代謝
ナイアシンとアルコール、トリプトファン
ビタミンB6とアミノ酸、つわり、月経前症候群
葉酸と妊娠、DNA、動脈硬化
ビタミンB12と葉酸の関係、欠乏症、消化吸収の特徴
パントテン酸と糖質・脂質の代謝、神経伝達、善玉コレステロール
ビオチンと卵白、アトピー、血糖値、胎児